西梅田こころとからだのクリニックにおける 放火殺人事件の取材や報道に携わる方々への お願い 取材や報道に携わる方々へ(お願い)
2021(令和 3)年 12 月 17 日(金)に発生した大阪市北区の西梅田こころとからだのクリニックにおける
放火殺人事件では、多くの尊い命が奪われました。謹んで哀悼の意を表します。
また現在、生死の境にいる被害者の方もおられます。ご遺族、被害者、関係者の皆さまのご心痛いかばかりかと
拝察いたします。
事件直後より、犠牲になられた方について、ご遺族や関係者への取材が続いております。故人がどのような人で
あったかを明らかにすることで、故人を偲び、事件を正確に記録し、事件の風化を防ぐという報道機関の皆さま
のお考えは理解することができます。
しかしながら、遺された方々にとって今必要なのは、少しでも静かに落ち着いて過ごせる環境と時間かと存じます。
犯罪被害者等基本法においても、「国民は、犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏を害することのないよう十分配慮
する」ことが定められています。取材によりご遺族等の皆さまの心労がより一層強くなることのないよう、最大限
のご配慮をいただきますようお願い申し上げます。
また、今回、直接被害に遭わなかった同クリニックのスタッフ、あるいは通院されていた患者様におかれましても、
大切な仲間や頼りにしていた支援スタッフを失った悲しみは計り知れません。自らも一歩間違えば遭遇していたかも
しれないという恐怖、そして「なぜ自分は生き残ってしまったのか」という罪悪感(生存者罪悪感;サバイバーズ・
ギルト)が生じることもございます。こういった方々の心の回復にも、安全で安心できる環境が何よりも必要となります。
そのような環境が脅かされることのないよう、取材や報道が慎重に行われることを切に望みます。
お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族、患者様、関係者の皆さまのご回復を祈念いたします。
そして、私ども心理支援専門職は、犠牲となった心理職一人ひとりが続けてこられた業務(心理支援)を、
今後も大阪で、そして全国各地で、実践し続けて参ります。
2021 年 12 月 28 日
大阪府臨床心理士会 会長 梨谷竜也
一般社団法人大阪公認心理師会 会長 水野治久
一般社団法人日本臨床心理士会 会長 津川律子
一般社団法人日本公認心理師協会 会長 大熊保彦